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グアムでの自主トレとチームのキャンプから帰国してすぐに、2006年限りで現役を退いた城彰二選手の引退試合に出場した。31歳での彼の引退を早いという声は多いけれど、サッカーの場合、それは特別なことじゃない。
サッカー選手の年齢を考えるとき、ちょうど2倍にすれば会社員の人たちと同じくらいのイメージになる気がする。つまり、10代半ばの選手は、企業でいえば20代から30代で、いろいろ経験を積んで成長する時期。選手がピークを迎える20代は、サラリーマンなら40歳を過ぎて脂が乗る働き盛りという具合だ。
そして会社員にとっての定年が、サッカー選手なら30歳前後。自分ではまだまだやれると思っても、世代交代だと言われてしまう。もうすぐ41歳の僕は、80歳を過ぎても営業でバリバリ走り回っている“おじいちゃん”という感じだろう。
引退を決意する理由は人それぞれだ。子供のころから20年くらいサッカーを続けてきた結果、体のどこかが故障するとか、気持ちがついてこなくなることもある。そしてもう一つ、生活面の問題も大きい。
日本では複数年契約が少なく、ほとんどが単年だ。プロ野球のような契約金もないし、来年以降の保証もない。その割にプロとして決して給料が高いとはいえない。J1とJ2を合わせた平均年俸は1,000万円に届かないそうだ。浪人中の選手がシーズン途中に契約してもらうようなケースだと、基本給ゼロで勝利給だけ、つまり完全歩合制ということもある。
そんな世界だから、特に家庭があって子供もいる場合は、たとえ契約のオファーがあってもいろんなことを考えないといけない。家から遠いクラブだと、家族を連れて引っ越せるかどうか。子供を転校させたくなければ単身赴任になるし、すると二重負担になる家賃もばかにならない。
僕がプロ23年目も現役を続けられるのは、給料が下がってもまだ大丈夫だったり、スポンサーがついてくれたりするおかげだ。すごく恵まれていると思うけれど、過去に積み上げたものの結果でもあるし、それもプロとしての力。技術だけじゃなく、プレーを続けるための環境を手に入れられるかどうかも力量のうちなんだ。